日本人の肌と外国人の肌
まず日本人の肌は白人や黒人に比べて表皮の角質層が薄いことが知られています。
厚生労働省の産業医学総合研究所のまとめによると、日本人の角質層は白人の3分の2ほどしかないと報告されています。
そのかわり、真皮と皮下組織は白人に比べて厚いこともわかっています。
なので、海外で行われている激しいケミカルピーリングをそのまま日本人におこなうと、火傷(ヤケド)のような状態を起こしかねないのです。
そう言う理由から、私共はフェノールやTCAといった古典的ディープピーリングを捨てて、 より日本人に適したグリコール酸ピーリングとサリチル酸マクロゴールピーリングに限定しておこなっているのです。
剥皮深度による分類名称 | 組織学的剥皮の深さ | 使用薬剤とその濃度 | 適応症 |
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very superficial peels 最浅層ピール |
角質 | 20%~50% グリコール酸 | にきび、脂漏性皮膚、こじわ |
10~30% 乳酸 3% グリコール酸配合 | にきび | ||
30% サリチル酸マクロゴール基剤 | にきび、若返り、くすみ、雀卵斑 | ||
ジェスナー液 | にきび | ||
superficial peels 浅層ピール |
表皮顆粒層から基底層の間 | 20% TCA | 脂漏性角化症、老人性色素斑、雀卵斑、にきび |
70% グリコール酸 | 老人性色素斑、こじわ | ||
レチノイン酸 0.1%:顔、0.2% 上肢、0.4% 下肢 | 老人性色素斑、炎症後色素沈着、にきび | ||
medium depth peels 中間深層ピール |
表皮全層と真皮乳頭層の一部から全部 | ジェスナー液+35% TCA | 日光角化症、肝斑、炎症後色素斑 |
70% グリコール酸+35% TCA | 日光角化症、肝斑、炎症後色素斑 | ||
deep peels 深層ピール |
表皮と真皮乳頭層および網状層に及ぶ深さ | ベーカーゴードン液 | 日光角化症 |
55~65% TCA | 眼瞼黄色腫、脾粒腫、母斑細胞性母斑 | ||
88% フェノール | 日光角化症、肝斑、炎症後色素斑、こじわ |
また日本に進出しようとした米国のエスティ・ローダーはまず日本人の皮膚の皮脂量を綿密に調査したそうです。 結果、日本人は白人よりも皮脂量が20%も多いことが分かったそうです。
尊敬するオバジ(Obagi)先生には申し訳ないですが、 トレチノイン療法にもちいるトレチノイン軟膏とハイドロキノン軟膏も日本人に合うように基材や素材を改良し、 院内で全くの粉末から自家調剤しています。
北里研究所病院の宇津木先生は「皮脂を分泌する皮脂腺は体毛と一緒に発生する。 高温多湿で服を着込む必要がないためか、日本人は皮脂腺が発達し皮脂の分泌量が多い。
また皮脂腺が肥大した分だけ真皮が厚くなっている」と述べてらっしゃいます。
日本人の肌は欧米人に比べてしわができにくく、 キメが細かいといわれる理由の一つは肌に張りを与える真皮が厚いからというのがここでご理解いただけたと思います。
といいつつ、傷を修復するコラーゲンが活発に動きすぎて、ケロイド状の傷ができやすいというデメリットもあるのも事実です。