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皮膚の色

皮膚の色

「皮膚に関して講演して下さい」
といわれれば何時間でもひたすらしゃべる悪い癖があるので、 話があちこちに飛んで、なかなか肝心の皮膚の構造の話になりませんが、 「皮膚の色」も大切ですので、日本人と白人・黒人というテーマの流れで記述しておきます。

皮膚の色は「スキンタイプ」といって、6つに分類されます。
フィッツパトリック(Fitzpatrick)分類といって、 本来は紫外線(UV)を浴びた時の皮膚の反応を6つに分類したものがあるのですが、 誰かが間違えて皮膚の色にそれを用いるようになってきました。 そして今では世界中のレーザー学会や論文でも、 皮膚の色をフィッツパトリック(Fitzpatrick)分類で表す方が市民権を得てしまいました。

スキンタイプ 皮膚色 紫外線感受性 日焼けによる赤み 日焼けによる褐色変化
I 白色 高度過敏 常に起きる 絶対に起きない
II 白色 高度過敏 常に起きる 時々起きる
III 白色 中等度過 起きる 起きる
IV 淡褐色 中等度過 時々起きる 常に起きる
V 褐色 軽度過敏 稀に起きる 判別不可
VI 黒色 非過敏 絶対に起きない 判別不可

スキンタイプIは真っ白の白人。スキンタイプVIは真っ黒の黒人。 IからVIにかけて濃くなっていきます。
日本人はIIIとIVがおおいです。 海水浴に行ってこんがりきれいに焼ける人はIV。 赤くなるだけですぐに皮がむけて終わってしまう人はIIIです。
一般的に白い皮膚ほど紫外線(UV)に対する影響を受けやすく、皮膚がんになりやすいといわれています。

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体内でビタミンDを作るのに太陽光は必要不可欠です。 現に海外の皮膚科学会でも、 日照時間の少ない北欧での子供たちへのビタミンD不足の問題がたびたび取り上げられるほどです。
しかしながら、この記事を書いている2011年現在、米国では日焼けサロンが大問題になっています。 日本ではさすがに私の医院の周りを歩いていた日焼けサロンに足しげく通う女子高生もめっきり見なくなり、 いわゆる「ガングロ」と呼ばれた世代の方々は姿を消しましたが、米国ではいまだに高校生の間ではやっているのです。 しかもスキンタイプがIやIIなものですから、 悪性黒色腫(メラノーマ)と呼ばれる最も恐ろしい皮膚がんに関してだけでも ここ20年で発生率が2倍以上に上がっているのです。

UVBは細胞の核内にあるDNAに直接吸収されてDNAに傷をつけます。
DNAは細胞の設計図ですから、 これに傷がつくということは細胞にとっては大変な傷害となるわけで、 その結果細胞はがん細胞に変異しやすくなります。

余談ですが、19世紀のヨーロッパ人は白い肌が上流階級であるという認識がありました。 太陽の下で働く必要がないためです。 美白を手に入れたい女性は砒素まで飲んだという記録が残っています。
そう言う意味では、医学の進歩により、安全に美白治療ができるようになった現代人は幸せだと思います。 その反面、いまだに日焼け対策をしない人々がいることにも遺憾な気持ちでいっぱいです。

近年の研究ではウロカニン酸という物質が解明されました。
本来であれば変異(変質)した細胞は異物とみなされ免疫細胞により攻撃を受けてしまいます。 つまり紫外線(UVB)でダメージを受けたメラニン細胞も消されるはずなのです。
しかしウロカニン酸は紫外線を受けると免疫反応を抑制する構造に組み替わり、 ダメージを受けたメラニン細胞を保護しようとします。
ヒトが進化の過程でこのような特性を得たのは太陽光線で損傷を受けた皮膚に、 修復する機会を与えるためだと言われています。

日光で火傷(ヤケド)を起こす時間はとても短いことが分かっています。
米国の厚生労働省に当たるFDAによる過去の実験では、 夏の真昼に相当する太陽光を何分間浴びると皮膚がピンク色になるのかという「最小紅斑量(MED)」を調べました。
その結果、なんとスキンタイプIの方で14分。 スキンタイプVやVIの人でその7倍の時間がかかったというデータが出ました。
紫外線レベルの非常に高いオーストラリアでは皮膚がんの発生率が非常に高いため、 小学校の出入り口に日焼け止めを常備してあります。 子供たちを紫外線から守るためです。
逆に、日照時間の少ない北欧にすむ黒い肌の人はビタミンD欠乏症にかかりやすいのです。 光は黒いものに吸収されます。 せっかく太陽光を浴びても表皮のメラニンに吸収されてしまい、ビタミンDが作れなくなってしまうというわけなのです。

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